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ミルトン・ヴィンヤーズ
The Millton Vineyards

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ニュージーランドにおけるビオディナミのパイオニア

ニュージーランド/ギズボーン

ニュージーランド、北島にあるギズボーンは、ニュージーランドで最も東にある町です.
ミルトン・ヴィンヤーズは、ギズボーンの郊外、開拓者達によって1871年に最初のブドウが植えられたマヌトゥケの近く、テ・アライ川の川岸にあります。
ミルトンは創立から30年足らずの小規模なワイナリーながら、ニュージーランド産オーガニック(ビオディナミ)ワインのパイオニアとして、今日ではその品質の高さや彼らの栽培や醸造に対する姿勢などがニュージーランド国内はもとより海外の多くの著名な評論家やワイン愛好家から大きな賞賛を集めています。

 

オーナーのジェームス・ミルトンと妻アニーは、今から40年ほど前、結婚するとすぐにワイン造りを志してヨーロッパに渡りました。ボランジェ(シャンパーニュ)、メゾン・シシェル(ボルドー)、キュルストナー醸造所(ラインヘッセン)などを転々としながらワイン造りを学ぶうち、オーストリアの思想家ルドルフ・シュタイナーの「バイオダイナミクス理論」と出会い、強く感銘を受けた2人は、この理論に則ったぶどう栽培(ビオディナミ)を実践する事を決意します。

彼らはギズボーンに戻ると、アニーの父である故ジョン・クラーク氏が経営していたワイナリーを引き継ぎ、ビオディナミへ転換するために念入りな畑の調査を行ってぶどうの大部分を植え替える作業を行いました。当初彼らのビオディナミへの取り組みは周囲から嘲笑され、彼らの成功を信じる者は彼ら2人以外皆無でした。しかしワイン造りを始めてわずか5年で、彼らはシュナン・ブランから造るワインなどにおいて、周囲も認めるニュージーランドのワイン生産者のリーダー的存在となりました。元々ギズボーンはニュージーランドの中でも平均気温が高く、また湿度も高いことからシャルドネ以外の高級ワイン向けのぶどう栽培には不向きと言われ、それまでは安価なバルクワイン向けのぶどうが大量に栽培されていました。しかしミルトンはそのギズボーンでシャルドネはもとよりシュナン・ブランやピノ・ノワール、ヴィオニエなどから素晴らしいワインを次々と産み出し、彼らの取り組みが正しかった 事を証明したのです。

 

彼らは全ての畑で伝統的な方法でのブドウ栽培を実践しています。殺虫剤、除草剤、殺菌剤や化学肥料などは一切使用されません。 代わりに用いられるのはビオディナミには欠かせない牛糞、様々なハーブ類、水晶の粉、堆肥などです。そして彼らは栽培と醸造に関わるすべてのものをビオディナミを実践している彼らの地所の中で循環させるべく、牛糞を得るために牛を飼い、ぶどうを受粉させるためにミツバチを飼い、ワインの清澄に用いる卵白を得るために鶏を飼っています。また栽培から醸造まで全てのプロセスは月や天体の動きを記したビオディナミのカレンダーに基づいて行われます。スタート当初からのこれらの取り組みにより、ミルトン・ヴィンヤーズはスタートから5年目の1989年にニュージーランドのワイナリーでは初めて、公的オーガニック認証(Bio-Gro)を 獲得しました。そして2009年には世界的なオーガニックの認証団体である、デメター(Demeter)の認証も獲得しました。
またミルトンは有名なロワールのオーガニックの生産者、ニコラ・ジョリーが主宰する世界的なオーガニックワインの団体「ルネサンス・デ・ザペラシオン」のニュージーランド唯一のメンバーで、 現在ではビオディナミを志す若い生産者たちへの指導も積極的に行っており、その教え子たちがフランスのアルザスを始め各地で、ビオディナミによる ぶどう栽培を行っています。

 

健全な環境で育ったぶどうは強い生命力と強い風味を持ちます。オーガニックでもかびや病気、ワインの酸化を防止するサルファ(硫黄=SO2)の使用は認められていますが、ミルトンではサルファは病気の発生が認められた場合にのみ必要最低限の量の散布に留め、ワインへの添加も規定で認められている量の4分の1以下に抑えています。
また彼らの畑の土壌は水分を多く含む粘土質やシルトが主体のため、堆肥や海藻類、ハーブなどを漬け込んで寝かせた水「コンポスト・ティー」に水晶の粉を少量溶き、独特の機械で循環、攪拌させたものを畑に撒きます。これによって土壌中の微生物類が増加し、それを求めてミミズが活発に活動する事で土壌の通気性が良くなり、土壌が適度に乾燥してぶどうが病気にかかりにくい環境が作られます。彼らにとってはミミズも大事なスタッフなのです。

 

彼らはギズボーン近郊のマヌトゥケとマタホェロに所有する4ヶ所の畑から、素晴らしいワインを造っています。ワイン・アドヴォケイトで「ムルソーのドミニク・ラフォンを思わせる」と評されたシャルドネが生まれる、最も歴史の古い「オポウ・ヴィンヤード」。ワイナリーに隣接し、著名な評論家たちから「ニュージーランド産で最高のもの」との賞賛を浴びるシュナン・ブランが植えられている「テ・アライ・ヴィンヤード」。海に近く、畑に吹き付ける海風が植えられているヴィオニエやシャルドネに独特の「うまみ(UMAMI)」をもたらすという「リヴァーポイント・ヴィンヤード」。そしてギズボーンの街とボヴァティ湾を望む東方向に開けた斜面に広がる「ナボテ・ヴィンヤード」。ここはジェームス曰く「世界で最も早く朝日を浴びるぶどう畑」です。海から吹いて来る涼しい風のおかげでここはピノ・ノワールの栽培に適しています。またこの畑の一角は「クロ・セント・アンヌ」と名付けられ、彼らのグラン・クリュのためのシャルドネ、ピノ・ノワール、シラー、ヴィオニエ、シュナン・ブランが植えられています。「クロ・セント・アンヌ」のワインは彼らが納得のいくぶどうが収穫できた年のみリリースされる、まさにミルトンのフラッグシップ・ワイン。リリースされるとあらゆるレビューで最高評価を叩き出す、ずば抜けたクオリティを誇ります。またこの斜面のふもとには、夫妻が我が子の様に可愛がっている牛たちが暮らしています。
ジェームスはワイン造りや若き生産者達への指導の傍ら、ニュージーランド国内の様々なワインコンテストの審査員も務め、ニュージーランドのワイン産業の発展に尽力しています。こうした功績が認められ、2014年にはイギリス連邦の栄誉ある勲章であるメリット勲章(Order of Merit)を授章しました。かつて周囲から嘲笑されたミルトンは、今やニュージーランドで最も尊敬される生産者となりました。そしてそのワインも、さらに向上を続けて行きます。